コラプティオ 汚職・腐敗という意味

コラプティオ 真山仁

初めて読んだ真山仁さんの作品です。文藝春秋から2011年7月に発刊された単行本です。

作品の舞台は東日本大震災後の政治です。時の総理・宮藤隼人は原発事故で苦しむ日本を生き返らせるために原発輸出を推し進めようとし、しだいに独裁的になっていく、と言うストーリーでした。

宮藤はカリスマ性があって、特にスピーチが上手い。多くの聴衆は彼の話に引き込まれてしまう。言葉を武器に国民からの圧倒的支持を得るようになり、それでマスコミまでも操れる。国民は、政治家の話は熱狂されることなく少し引いて冷静に聞かないと判断を誤りそうです。

宮藤総理が原発を推進しますと被災地で演説した場面で、下記のアインシュタインの言葉・名言を引用していました。

この素晴らしい応用科学は労働を軽減し、生活をより豊かにしながら、なぜ我々に幸福をもたらしてくれないのか。答えは簡単である。我々がそれを有意義に利用するに到っていないからである。

3.11で、原子力は未だ人間の手に負えない技術だと言うことがよく分かったはず。にもかかわらずこのまま使い続ければ、アインシュタインの言葉のように不幸が又もたらされるに違いないので原発は止めよう。

と私は思いますが、宮藤総理は違う。世界各地で原発が使われ続けるのであれば、不幸を繰り返さないために日本がその技術を最高レベルに持っていこうと言う。

本書ではふれていませんが、最高レベルとは核のごみ処理や事故が起きても対応できる能力も含まれる必要がある。それが可能になるまでしばらく使用しないほうがいいと思います。

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