スペース・テザーが低軌道を支配 オービタル・クラウド

オービタル・クラウド 藤井太洋
オービタル・クラウド

藤井太洋さんの作品を初めて読みました。オービタル・クラウドは2014年の第35回日本SF大賞を受賞しました。ストーリーは、人工衛星が飛び交う低軌道上で繰り広げられるテロとの戦いです。

そこで使われる武器は、テザー推進宇宙機「スペース・テザー」でした。「テザー推進」と言う言葉も今作品で初めて知ったので、読んでいてもそれが今ひとつピンとこない。ネットで調べてみて、少しイメージできました。

推進剤を必要としないこの推進システムは、様々な機関で開発が行われているようで、JAXAの案もそのイメージ図をホームページで紹介しています。ですが、この作品に登場するテザー機は、JAXAのそれとは全く異なり、二つの終端が手を取り合うように円運動すると言うユニークな設定です。

スマホサイズの二個の終端が、グラフェンを素材とする長さ2kmの紐で繋がっている。重りを紐の上で移動させつづけて、重心を常に不安定にすることでローレンツ力の向きを常に変化させて自転しているそうです。さらにそれが、虫や小魚が群れとなってまるで大きな生き物のごとく動くのと同じように、1万個も集まって軌道上を群体飛行します。

この飛行を制御できない限り衛星などを打ち上げられなくなり、低軌道は完全にテロリストに支配される。しかも燃料を必要としないため、半永久的に動き続ける厄介な物。

長い紐でつながった物が、多く集まって回転していたら絡みあってしまうのではと思うのですが。そこは、地上からの通信で各位置を指示している。この通信手段もインターネットを悪用した、なるほどと思わせる方法です。

この作品ではネットを使った悪巧みのアイデアがいくつか出てきます。サイバー・コマンドーに書かれていたようなサイバー攻撃とは少し違いますが、何れもああこういうのもアリか、と納得しました。

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