ブラック・マネー 生島治郎

ブラック・マネー 生島治郎

生島治郎さんの作品「ブラック・マネー」を読みました。集英社文庫の1990年10月 第3刷となっている古い本です。作品自体は1986年に発刊されたようです。

昨年、ニュースにもなった白紙が現金に変わると騙す詐欺のブラックマネーではなくて、闇資金のブラックマネーです。

最初の話の舞台は香港為替市場。主人公の村木晴彦は邦友銀行香港支店のディーリングルーム室長です。彼は、自身の考えとは異なるが、支店長の命令でドル買いに走る。このあとドルは暴落して邦友銀行は大きな損失を被る。

儲ける人がいれば、逆に必ず損をする人がいる為替市場。自分が差益を得るためには誰かに差損を被らせねばならないと、香港のブラックマネーをあやつる柳宗源の仕掛けた罠でした。

ドル暴落のきっかけは先進五カ国蔵相会議で発表された、ドル高是正に踏み切ると言う声明でした。それまで1ドル250円前後で推移していたが24時間で230円台に突入。これはこの小説が書かれた時代、1985年のプラザ合意を想定しているそうです。

村木は宗源にビジネスでは負けたが彼の娘の香景を奪ってしまう。終わりはハッピーエンドです。三人は、顔を見合わ、せそれから、揃って吹き出した。

関連ページ:上海無宿 生島治郎

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