雪炎 原発を抱える町の3・11後 馳星周

雪炎 馳星周

光あれ」に続いて読んだ馳星周さんの作品です。集英社から2015年1月に発刊された物で、作品自体の初出は2013年だそうです。

北海道・道南市の太平洋岸に建つ、北日本電力の鵡川原子力発電所。1985年に1号炉が稼働し、その後3基にまで増えた。が、3・11東日本大震災以降、それらは停止したままになっている。

そんな中で、大震災から一年後に行われた、原発推進派の現職と反対派の新人が争うことになった市長選挙を巡る物語りです。

ただ、反対派に勝ち目はない。市民は3・11で原発の危険性を目にしたにもかかわらず、あれは対岸の火事であって、この町は原発なしではやっていけない状況なので。

それに代わるものがない状態で、危険だから停めろでは地元での反対運動は難しいものがある。

一方、推進派は勝って、大きな利権を守るだけではなくて、大差での勝利を狙う。反対派の勢いをそぎ、反対したところでこの国は変わらないし、ならば、何もしなくても同じではないかと国民に思わせるため。

福島第一原発の事故から5年が経過して、私の中でも原発に対する関心が少し薄れてきのも事実です。

現実社会は、川内原発2基と伊方原発1基の計3基の原発が再稼働しました。このまま何も起こらなければ益々関心は薄れていく。

これを読んで、原発を抱える町に考えや思いを巡らせました。

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